「社会に必要とされる魅力ある空間スタイルを、研究・創造し提案すること」

我々はアーティストではない。
社会活動の中で求められるグッドデザイン・コスト・スケジュール・利用者すべての声
これらをトータルにまとめる事が、我々の仕事である。

 場に流れる空気を追いかけて、設計・デザインする。一般的には「用意された空間に、必要な機能をいかに整然と美しく納めるか」を考える。しかし、そのようにプロポーションばかりにこだわると、肝心の「人が最も必要とするもの」が後回しになる。つまり、まとまっているが使いにくい設計、使う人から離れたデザインとなる。

 建築設計・デザインは、イメージだけが先行したデザイン、幾何学的な形の組み合わせ、グリッドによるレイアウトで実現するものではない。我々は、まず施設の目的を把握し、クライアントの考えを聞き、現場に立ってそこに流れる空気を感じる。それらは物理的空間に整然と納まることなく、絶えず流動している。

 我々は、そのような「場に流れる空気」を追いかけて、設計・デザインをする。それゆえに、我々の設計・デザインは、既成空間から開放された自由さを持ち、その場にふさわしい空気をまとっている。新たな可能性を探り、デザインとして提案しつづける。

 「新しいものばかりを追求することだけが、デザインではない」と言われる。たしかに、人々の生活に必要なものは、様々な国や地域で、風土や文化に根ざした理想的なデザインとなり、伝えられている。古典調やリゾート風など求められるスタイルによっては、過去のデザインをコーディネイトすることも必要になる。

 しかし、過去のデザインを部分的に使ったり、組み合わせたりして新しく見せるのは、あくまでもコーディネイトでありデザインではない。我々の専門とする商業施設は、建築の分野でとりわけ変化が激しく、デザインを必要としている。それに携わる建築家、デザイナーとしての役割は、常に将来に向けて新たな可能性を探り、それをデザインに変えて提案していくことである。

 モダン、クラシカル、エリアスタイル、癒し、攻撃、未来、時間。そして過去・現在を分析し、未来をイメージして、常に進化していくべきデザインに不可欠のキーワードだと考える。